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浅田訴訟、弁護団の先生からの報告

|18年12月13日 |中島 |

弁護団の古謝です。

本日言い渡された、浅田訴訟の広島高裁岡山支部判決の概要をご報告します。

1 まず、主文は「岡山市の控訴を棄却する」です。つまり、「本件処分を取り消し、96時間の自立支援給付の支給決定を義務付け、107万5000円の損害賠償を認めた」岡山地裁判決が支持されました。一審に引き続き、浅田さんの全面勝訴です。

2 訴えの利益について、高裁判決は、自立支援給付と介護保険給付との違いに言及したうえで「浅田さんは現在においても、受けたサービスに要した費用(本件においては特に自己負担額)のために、自立支援給付の支給決定を受ける法律上の利益を有している」と指摘しました。

3 本件処分の違法性については、地裁判決とは異なる判断方法を採っています。
まず、以下の(1)のとおり、本件処分が岡山市の主張するような覊束処分ではなく、裁量処分だと論じた上で、そのうえで(2)のとおり、本件処分が裁量を逸脱していることを述べています。
(1)自立支援法7条が
ア 自立支援給付と介護保険給付とは異なるもので、介護保険給付を受けることができる障害者に対しては、一律に自立支援給付の不支給決定をするのではなく、要介護状態以前の障害によりどのようなサービスが必要なのか、介護保険給付の自己負担額を支払うことが障害によりどの程度負担なのかなどを考慮して、自立支援給付を選択することが相当である場合があること
イ 本件通達も一律に介護保険給付を優先的に利用するものとはしないこととしていること
ウ 国は、本件合意文書をもって、自立支援法7条の介護保険優先原則の廃止を検討することを約束したこと
エ 本件実態調査によれば、自立支援給付の申請を却下する自治体は6.4%(6自治体)に過ぎず、現実にはアの選択がなされていること
からすれば、自立支援法7条は、自立支援給付と介護保険給付等の二重給付を回避するための規定であって、介護保険申請をしない場合に自立支援法7条に基づき自立支援給付の不支給決定をすることは、覊束処分とはいえず、裁量処分と解するのが相当、としています。
(2)岡山市が、浅田さんの周りにボランティアがおり、必要最低限度の支援まで失われてしまうわけではないことを判断の基礎として勘案し、自立支援給付の全部の不支給決定をしたことは、看過し難い誤りである。そして、浅田さんがやむなく介護保険給付の申請をし、介護保険給付に費用の一時的な支払の負担が大きかったことも認められる。そうすると、介護保険給付を受けていることをもって、取消対象部分に係る自立支援給付に相当するものを受けていると判断したことは、社会通念に照らして明らかに合理性を欠く。したがって、本件処分は裁量権の逸脱濫用にわたり違法、としています。

4 高裁判決は義務付け、損害賠償請求についても一審と同様に認めました。

以上、高裁判決の要旨をご報告します。

記事分類 NPO人権みんなの会記録 | コメント 0 »

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